映画『七人樂隊』公式サイト 香港を代表する七人の監督による“香港七重奏”

「回帰」ユエン・ウーピン監督

大家好! この文章を書いているのは9月30日。来週の今頃、映画館で『七人樂隊』をご覧になっている方もいると思います。一週間後の観客の皆さんにいち早くお礼申し上げます。有難うございます!!

 今回紹介するのはユエン・ウーピン監督の「回帰」。香港が中国に“回歸”(返還)される1997年、長年ひとりで暮らしてきた祖父の元に孫娘がやって来る。ハンバーガーなど西洋の物を好む孫娘に、祖父は昔ながらの香港の物を差し出すなど、ジェネレーションギャップがあるふたり。しかしチンピラにからまれる孫娘を得意の功夫で助けたことをきっかけに、孫娘は祖父に英語、祖父は孫娘に功夫を教え、徐々に二人は心を通わせる。そして孫娘はカナダへと旅立ち、祖父はこれまでのひとりでの生活に戻る……

 祖父を演じるのはユン・ワー(元華)。「稽古」で監督を務めたサモ・ハンと共に“七小福”の一人で、ブルース・リーのスタントを務めた後、俳優として数多くの作品に出演。最近では『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にグアン・ポー役で出演している。この「回帰」では華麗な功夫を披露する一方、家族を思いやる心優しい一面や、妻に先立たれ長年一人暮らしをしている寂しさを醸し出し、とても魅力的なおじいちゃんを演じている。ちなみに現在「新宿武蔵野館」では『七人樂隊』公開記念として、ユン・ワーが特別出演しているサモ・ハン監督・主演作品『おじいちゃんはデブゴン』を一週間限定で上映中。こちらも必見で、サモ・ハン、ユン・ワーのほかに、『七人樂隊』の監督のひとりも出演している。どの監督が出演しているかは劇場で確認を!

 この「回帰」を撮ったのはユエン・ウーピン監督。アクション映画を多く監督してきたが、本作では心温まる家族の話を優しい目線で描いている。そんな物語は当然必見だが、今回はおじいちゃんの住まいにも注目して欲しい。ビニールに包まれた獅子舞の頭、鶏の絵が描かれた茶器、「自強不息(常に自分を向上させることを怠らない)」と書かれた額縁、オレンジを供えた仏壇など、レトロでかわいい物ばかり。孫娘を喜ばせようと用意した「クリィミーマミ」のベッドカバーも懐かしい。ちなみに「クリィミーマミ」は香港では「我係小忌廉」というタイトルで1985年にTV放映され、今年10月には旺角(モンコック)のランガムプレイスでポップアップストアが設けられるなど40年近くたった今でも大人気である。そして劇中で流れる曲は1980年の人気ラジオドラマの主題歌「別了,親人!」(張偉文)で、祖父は部屋にあるラジカセでこの曲も聞いていたんだろうなぁと思わせる。

 返還の年、香港の街に流れていた空気感をこの「回帰」の中から感じ取ってほしい。

新宿武蔵野館『おじいちゃんはデブゴン』上映作品紹介ページ https://shinjuku.musashino-k.jp/movies/28066/

「回帰」ユエン・ウーピン監督インタビュー映像 
https://www.youtube.com/watch?v=TE9nYcM7vVg&t=4s

『七人樂隊』宣伝担当 小西晴文

 

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